ぼくに何ができるだろう
何もできやしない。
彼とは10年前カイロのスルタンというゲストハウスで出会った。 その時宿泊していた数人とで、一ヶ月ほどだろうか、共に語らい、唄い、食事をつくり、街に出掛けたり、思い出深い時間を過ごさせて貰った。
僕のギターで彼は、これしかできないんですけど、と言ってRolling StonesのSympathy for the Devilsを恥ずかしそうに弾いていた。選曲にしびれた僕は、Stonesの他の曲をいくつか教えてあげたんだけど、びっくりするぐらい、ひたむきに毎日練習して、しきりに僕にお礼を言ってくれた。
日本に戻ってからも、よく手紙をくれたり、豊田にいた頃も、今の長久手に来てからも遊びに来てくれたり、関西で演奏があるときは、兵庫からわざわざ来てくれたりした。
何年か前から、花屋に勤めていて、心からやりたい事をみつけた、と言ってがんばっていた。フラワーアレンジメントの勉強をしていて、いつかシタールとコラボレーションしよう、絶対いいものができるよ、と二人で話して盛り上がった。
音楽がほんとうに好きだった彼。いいライブを観た後は、よくレポートしてくれた。
そんな彼の為にできる事はなんだろう、と考えて・・
しばらく、考えて・・・
何も思いつかない・・
彼はどんな事を考えていたのだろう。
・・・わからないよ。
何もできない・・もう、お礼も言えない・・
たくさんチカラを貰ったのに僕は何もしてあげられなかった。
昨日報せが来た、
彼の最後の僕への言葉は、年賀状に書いてある言葉になった。
”またライブ、行きたいです、 今年もガンバッテ下さい!”
聴きに来てくれよ・・・
おれがんばるからさ・・
・・また聴いてくれよ、Aくん・・
心よりご冥福をお祈りします。
| 固定リンク
「日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事
- みなさん、ありがとう(2017.08.22)
- 山頂みえた(2017.08.19)
- ちょっと晴れてきた(2017.08.13)
- 浸食(2017.06.14)
- ジャワる(2017.05.03)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント
こうきさんの音色は、きっと天国の彼にも届くと思います。
投稿: sumiko | 2006/02/12 20:43
sumikoさん、ありがとう。
投稿: こ | 2006/02/13 18:18
何も出来ないなんて思わないでください。
音楽を奏でる人と聴く人は対等だと思います。
お互いになくてはならない存在ではと。
出逢いは、神様からの贈り物。
こうきさんが彼から貰ったチカラと同じだけ、
彼もこうきさんからチカラをもらったと信じています。
若輩者が生意気言ってごめんなさい。
どうかお力落としのないように・・。
投稿: さつき | 2006/02/15 10:56
さつきさん、ほんとうにそうですね。
でもね、考えちゃうのですよ、たまに。
聴いてくれる人が美しい、かっこいいと思える音楽を奏でられるよう、日々練習を重ね、正直ちょろっとした自負もあったりするんですが、果たして伝えられているのかどうか・・
まだまだまだ、がんばらねばと思います。僕にはそれしかできませんし・・
ありがとう。
投稿: こ | 2006/02/15 18:00